OKINAWAビジネス・サテライト
FM那覇(FM78.0MHz)
水曜日 10:30~11:00
パーソナリティ:金城力
現在ではほとんど使われていない活版印刷の技術を沖縄で唯一やり続けている中村印刷株式会社の知念さん。もうあまり認知されていない「活版印刷」を取り扱うことの苦悩や会社を立ち上げてからの転機などについて話しています。

沖縄で活版印刷の魅力を伝えたい

左)金城さん・右)知念さん

金城:本日のゲストは中村印刷株式会社の知念さんです。早速ですが何をされてる会社ですか?

知念:私は印刷業をしていて印刷物全般です。特徴としては活版印刷も行います。

今の主流はオフセットだったりするんですけど、活版印刷は昭和40年まで使われていた昔の技術で、版がボコッと出っ張ってるものでやる印刷を活版印刷と言います。

金城:オフセットとか活版の違いってなんですか?

知念:活版印刷というのは昔に使われていた技術で鉄の鉛の印鑑みたいなものを使います。1本に1文字が刻まれていて、これを集めて並べて文章をセットして、紙に印刷するという方式です。

それが技術の発達でオフセット印刷ができました。オフセット印刷は凸版を起こさなくても気軽にできるもので、今はほとんどがオフセットの印刷が主ですね。多い枚数にも対応できます。

カラー印刷が簡単にできるようになって、小ロット印刷の需要が増えて、それを可能にしたのがデジタル印刷、オンデマンド印刷と言います。パソコンからそのまま出力機を通したら出てくるというような。今はそれが主流だと思います。

金城:活版印刷って凹凸のあるものにインクをつけて紙に押してるものが活版印刷ですね。

知念:私の両親もずっと印刷業をしていて年齢も60代後半になるんですけど、その両親でさえ直接活版印刷機を触ったことがないくらい昔の技術になりますね。

金城:版画って凹凸を作ってそこにインクをつけて紙を押し付けてやると思うんですけど、そのイメージに近いんですか?

知念:そうです。実際、鉛の活字もありますけど木材の活字もあるのでそのように考えていただけると分かりやすいかもしれないです。

 

「中村印刷」の名前の由来

金城:知念社長は創業者であるわけですが、今は創業されてどれくらいですか?

知念:今は3年目が半分終わったくらいです。

金城:以前から印刷の仕事を?

知念:そうです。印刷一筋でもう23年くらいになります。両親がずっと印刷業を営んでいたので小さい頃から印刷が身近にありまして。

私も専門学校を卒業してそのまま両親の会社で働き始めたので印刷しか見てないくらい。印刷が大好きです。

金城:名前が知念さんなのに会社名が「中村印刷」ってなってるじゃないですか。なんでですか?

知念:中村っていうのが私の旧姓です。会社を立ち上げたときに名前を入れたいという思いがありまして、中村の時代の方が印刷歴も長かったので愛着があって中村しか思いつかなかったというのもあります。

ちなみに両親の会社名はトマトプリントと言います。

活版をやり始めたこともありますが、もともと古い技術とかが好きで古めかしい会社名というか町工場のような会社名にしたかったという想いもあります。

 

両親の会社から独立したきっかけ

 

金城:独立したいと思ったきっかけは何だったんですか?

知念:両親が印刷をやってた時代っていうのが苦労していた時代だと思うんですよね。

両親も年齢が60代後半になったことでゆっくり仕事したいという気持ちもあったと思うんですが、私はまだこれからたくさん働いて稼いで子供達を育てないといけないという思いがあって。

デジタル化がこのまま進むと自分たちにはそれを維持できる体力がないと思った時に、両親とは方向性が違うと感じたんですよ。ゆっくり働きたい両親と、がむしゃらに仕事をしたい私では空気が違うと思いました。そのギャップについていけなくなった時がありました。

それなら自分で独立してやろうと思ったという感じです。

金城:お客さんはどんな人が多いですか?

知念:活版印刷と通常の商業印刷でお客さんの層が全然違っていることに途中で気づきました。

会社やり始めて「活版印刷やってます、通常の印刷もやってます」という話をするんですけど、活版印刷のことを知らない人も多いので、そのイメージを持ってもらうことで精一杯だったんですね。

で、それをやるうちに商業印刷を頼まれるお客さんが少なくなってきたなと思って。活版印刷ってクリエイター的なイメージが強くてそっちが定着したので、「商業印刷もできたんだっけ?」って言われるようになったりして。

その時に活版印刷と商業印刷は求める人は違うんだということに気づきました。

だからどちらかに偏ったイメージを通すのではなく、バランスよく別々にアプローチしないといけないなというところに気づいて、今その課題を解決するために工夫しているところです。

「活版印刷」のイメージだけが定着してしまった

金城:創業された時から経営はスムーズでした?

知念:いえ。大変な2年間でした(笑)

理想とは違いますねやっぱり。

金城:周囲の反応はどんな感じだったんですか?

知念:「活版印刷って何?」ってところからだと思うので。「やりたい」っていう思いはあるんですけど、どうして広めたらいいのかが全く分からなくて、だからものづくりイベントとかフリーマーケットとかに活版印刷機と一緒に出かけて実際に見て触れてもらってというところから始めました。

活版印刷が好きだという一部の人に利用してもらうためにどうしたらいいかを専門家派遣を利用して相談した時に、ホームページの発進とSNSの利用を勧められたので、それを始めると効果もあって少しずつ増えて行きました。

今は去年の倍くらいお客様はいらっしゃってます。大きな売上にならなくてもやり続けたいと思うのは、お客様に喜んでもらえた時がすごい嬉しくて。

それを続けるためには売り上げをあげることはしないといけないなということは思っていて、そのために自分がどういう計画で動いたらいいかというのを常に考えています。

沖縄のデザイナーコミュニティとの繋がり

 

金城:会社を始めてから大きな転機とかありましたか?

知念:ありました。たまたまホームページをみて活版印刷の名刺を作りたいと言っていらっしゃったお客様がデザイナーの方で。

そのお客様がすごく活版が好きな方で、「沖縄県内のデザイナーにここで活版印刷ができることを知らせたい」ということでデザイナー向けにワークショップをやりたいと言ってくださって。

私自身は企画とかが苦手なんですけど、その方が力を貸してくださって企画運営、呼び込みまで全てやってくださりました。1日使って自社でワークショップをやったんですけど、24名の定員が3日で埋まってしまって。そしてデザイナーさんに体験してもらったときの反響もすごくて。

デザイナーさんって印刷の方法も含めてお客様にデザインを提案されるので、そこに活版印刷の方法も加わったということで新しい選択肢が広がったと。また私の会社がデザイナーさん同士の交流の場になってる感じもして、この1日の出来事はすごく大きかったです。

その後にも、「またワークショップやらないんですか?」という声もあって、活版印刷を求めてくれてる人の層がわかってきた気がして。こういう風に宣伝していけばいいのかということが自分の中で学べました。

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知念さんの活版の制作実績はこちら

▶︎中村印刷株式会社ホームページ

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